⑴親の経済格差=教育の格差になりつつある
子どもの貧困という言葉を聞いたことがありますか。
日本は世界の中でもトップクラスの経済力を持っているので、誰もが豊かなように感じることが多いですが、実は7人に1人の子どもが貧困であるといわれています。
子どもの貧困とはどんなものを指すのかというと、1日3食しっかり食べられていないことや身なりがきれいでないことが挙げられますが、その中の一つに教育格差があります。
最近の日本の教育問題では、この教育格差がよくクローズアップされており問題になっています。
日本には赤ちゃんの頃から幼児教室に通って小学校受験をし、エスカレーター式の名門校に通っていてさまざまな習い事をしているという子どもがいる一方で、ノートや鉛筆などを買うお金もなく勉強をする術を持たない子どももいます。
この違いが発生してしまう原因は、親の経済格差です。
昔は貧しい家に生まれた子どもであっても、努力をして勉強すれば豊かになれることがありました。
しかし現代の日本では、お金を持っている人は小さい頃から自分の子どもにしっかり教育投資をするので、能力の差が年齢が上がるにつれて広がってしまうので、なかなか挽回することが難しくなっています。
したがってお金持ちの子どもは、さまざまな能力を身につけて育ってきたので、職業を選択できる幅が広く、大きくなってからもお金持ちのままでいるケースが多いです。
一方、貧しい家に生まれた子どもは、きちんとした教育を受けてこなかったケースが多いので、大人になっても高度な知識が必要な職に就くことが難しく、収入の少ない職に就いて貧しいまま暮らしていくことになってしまいます。
このようにお金持ちの子どもは大人になってからもお金持ちのままで、貧しい家の子どもは大人になってからも貧しいままであるということが固定されつつあります。
⑵教育バウチャー制度の存在
日本ではこの格差が広がりつつあるので中間層は減り、高所得者と貧困層にはっきり分かれていく傾向です。
そのような格差社会が出来上がってしまうと何が問題であるかというと、貧困層の子ども達は始めから諦めるようになってしまう点です。
将来もこのままであると自覚してしまうと、勉強をする意味がなくなってしまい非行に走る恐れがあります。
また大人になってからも定職に就かず、犯罪を起こしてしまい、日本の犯罪率が上がってしまうかもしれません。
そのようなことを防ぐ為にも、誰もがきちんと教育が受けられるように教育格差をなくすことが大切です。
まずどんな家の子どもであっても、教育の機会を平等に受けられるようにすることがポイントになります。
その対策の一つに挙げられているのが、教育バウチャーです。
教育バウチャーとは私立学校などの学費を使用できるクーポンを子どもや保護者に配布する制度で、各家庭の学費の負担を減らす効果があります。
これによって学費の高い私立学校に行ける子どもが増え、学校の選択肢を広げる効果を持っています。
このことはさまざまな家庭の子どもが私立学校に通えるというメリットの他に、学校間の競争力を上げる効果があり、それによって教育の質が上がることを期待しています。
しかしこの教育バウチャー制度は、日本ではいまだに導入されていません。
なぜ日本では導入を見送られているかというと、学校間で競争を生むことによってかえって学校の中で順位ができてしまい、ますます教育格差が広がるのではないかと懸念されているからです。
⑶畑恵氏が語る親の重要性とは
ただし、日本でも学校外教育バウチャーとしてバウチャー制度が一部導入されています。
これは学校以外の教育を受けることが難しい家庭の子どもに対して、塾などで利用できるクーポンを配布するという制度です。
これらの制度以外に、家庭でも教育格差を埋める対策があります。
家庭でもできる対策とは、親がもっと教育に関心を向けることです。
シングルマザーなどの家庭では働いて子どもにご飯を食べさせることで精一杯かもしれませんが、少しでもいいので、子どもが学校で何をしているのかなどに関心を向けることが大切です。
またお金がなくても、家庭の中である程度の教育を子どもに施すこともできます。
まず、子どもがまだ幼稚園や保育園に通っているのであれば、絵本の読み聞かせをするのがおすすめです。
絵本は図書館で借りることができるのでお金がかかりません。
絵本を読む習慣ができれば、自分で本を読む子どもになるケースが多いからです。
他にも時間がある時は、子どもと一緒にトランプや折り紙などで遊ぶのが有効です。
トランプの神経衰弱は記憶力をアップする効果がありますし、七並べは数の概念を覚えることができます。
折り紙は手先が器用になり立体的な概念を持つのに役立ちます。
このように小さい頃はお金をあまりかけなくても、親が教育を行うことができます。
小学校に入学してからは、勉強する習慣を子どもに身につけさせることが大切です。
毎日15分でも構わないので机に向かう習慣をつけさせるようにしましょう。