原子力発電所の現在の稼働状況

2020年9月11日 no comments Posted in 社会

東日本大震災の福島第一原子力発電所の事故があってから9年が経過しました。
様々な論議がされており、現在稼働中の原子力発電所は九州電力玄海発電所の3、4号機と関西電力大飯発電所4号機及び高浜発電所4号機の4機が稼働しているのみの状態です。
他に定期検査で停止中のものが、大飯発電所3号機と四国電力伊方3号機となっています。
再稼働後テロ対策で原子力発電所に義務付けられた、「特定重大事故等対策施設」の建設遅れのために停止となっている発電所もあります。
関西電力高浜発電所3号機と九州電力川内発電所1・2号機が該当しているのです。

参考・・・アトックスって何をしてる会社かな?

原子力発電所が建設される場所

原子力発電所は、大量の冷却水が必要なため、海岸沿いに建設されています。
現在全国で57機の発電機が建設されています。
内訳は、北海道に3機・東北に14機・関東甲信越9機・東海5機・北陸15機・中国2機・四国3機・九州6機の合計57機というのが現状です。
現状で稼働している原子力発電所は7%あまりとなっています。
日本のエネルギー政策の中核とみなして開発が進められたものが、再稼働されずただ維持管理されているのが現状です。
いかに事故による放射能流出の影響が大きかったかを物語るものであります。
危険と隣あわせで稼働してきた状態が明らかになってきているのです。
9年経過しても安全基準を満たさず、周辺住民の同意を得られないことがこの問題の深刻さの原因であるといっていいでしょう。

 

青森に2機・島根に1機建設中

現在建設済59機以外に建設中のものが、青森に2機・島根に1機あります。
青森にある東京電力の東通原発1号機は工事を凍結していますが、同じく大間原発は原子力建屋は完成しており、2012年10月に工事を再開しています。
島根原発3号機にいたっては、ほぼ完成していることから2012年3月に稼働する予定でしたが、現在は稼働を待っている状態です。
茨城県にある高速実験炉・常陽は事故によって停止しており、現在再稼働申請中になります。
他にも計画していた8機ありますが、現在でも建設の撤回がされていないのが現状です。

59機の原発のうち、廃炉準備中廃炉が決まっているものがもんじゅを含めて25機あります。
常陽を除けば残りは33機となっているのが現在の原子力発電所の状態であり、根本的な議論が必要な局面にきていることは間違いありません。

 

14原発25機、建設中の大間原発が安全審査を申請中

現在14原発25機、建設中の大間原発が安全審査を申請中の状態にあります。
合格証にあたる「審査書」に適合しているのが16機あります。
川内原発の2機・高浜原発4機・美浜原発1機・伊方原発1機・玄海原発2機・大飯原発2機・柏崎刈羽原発2機・東海第2原発・女川原発1機、合計16機となっているのです。
大間原発と9機は、審査中または審査待ちが現在の状態となります。
残る10基と建設中の島根原発3号機・東京電力東通発電所はまだ安全審査を申請していませんし、廃炉の決定もされていないのです。

国のエネルギー政策の根幹を背負うされていた原子力を活用した電力政策は、大きく変革を迫られているのです。
再生エネルギーを積極的に取り入れるという電力政策も推進されていますが、稼働中を含めて安全基準を満たしていても再稼働への道は遠いのが現状です。
政府は原発新増設の方向性を示しておらず、建設予定中の場所における準備工事は、長く中断したままとなっています。

 

地元の住民にとっても再稼働の問題は大きくのしかかっている

電力会社は、発電所の再稼働や新設を望んでおり生活のよりどころとなっている地元の住民にとっても再稼働の問題は大きくのしかかってきています。
原子力政策の根幹が崩れた状態では、先行きがみえず廃炉の決定がなされても、膨大な時間とお金がかかるのは間違いありません。
今も発電所内には使用済み核燃料を冷却保管しているのが現状で、排水の問題を含めて放射能の対策が必要とされています。
現在の原子力の稼働状況を正確に把握することは、多くの人々や今後の社会を原子力に頼るのかという問題にもつながります。
危険でありながら、エネルギー効率が良いとされて推進されてきた発電所の問題が、逆に重荷としてのしかかってきているのです。

司法判断を仰ぐケースも増えてきており、原子炉の差し止めが認められるケースも出てきているのです。
電力業界や政府は、事故から10年を迎える現在、今後の方針を説明し明確な方向性をはっきりさせるべきです。
政治判断を要する問題であり、選挙をする候補者はこの問題に対する見解を問われることとなります。

 

まとめ

今の稼働状態を冷静に判断して、そろそろ結論をだしていかなければ事故の教訓は生かされることがない状態が続くこととなります。
ドイツのように国として廃止の方向性を示してエネルギー対策の結論を出すときがきています。
難しい問題ですが、政治はこの問題を逃げるわけにはいかなくなっています。
再稼働していくのか、廃炉方向でいくのかを現状を踏まえて議論することが重要です。
同時に、9年間稼働していなくても電力事情がひっ迫することはなかったのも事実です。
やりくりすれば、電力は維持できるという見通しもたてきているのです。
その点も踏まえた今後の展開をはっきり示す時期になっています。